あらんです

ドーモ、あらんです。

ターニングポイント

月日は百代の過客にして...

旅人は旅をする。

一つ所に長くとどまることはない。

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去年放送された無職転生のアニメのテーマだが、とても響いた。

mushokutensei.jp

なんということはない、ひとつの「案件」が「休止」したというだけのことである。

今後はしばらくメンテナンスモードに入る。

さよならは突然に。

いや、予期していたといえばそうだ。

いつだってその可能性は、あったのだから。

宇宙は動的である。

「一区切り」ついて、幕を閉じたんだなという感がある。

年数にしたらなかなかのものだし、小学校より長い時間なにかを共にしたという経験は、家族に次いで長い。

安定か冒険か

安定は停滞と紙一重である。

生活は安定していた一方、新鮮味やわくわくといった感情は薄まっていったかもしれない。

まだ続けても良かったじゃないかと言われたら、そうかもしれない。

ここでカンのいい人は、「これって恋愛の話?」と思うかもしれない。

いや、違うんです。仕事の話なんです。

(プライベートは独身のままで、パートナー見つかってません笑)

なのである程度「ぼかして」書いています。

(それでも、文章としてはある程度通る内容になってます。)

...話をもとに戻す。

ここは、相手(意思決定者たるプロダクトオーナー)の立場になって見る必要がある。

2つのことがある。

一方に楽しいこと、あかるいこと、わくわくすること、おもしろいことがあり、あたらしいことでいっぱいである。

その光のようなものと比べられるものがある。それは、その光に照らされて、どこか陰りを見せていたかもしれない。

新しい市場への参入。彼は新しいことに挑戦したいのだと思う。

できる起業家というのは、そういう気質なのだ。

この市場(ウェブサービス、アプリ界隈)はまだまだこれからも伸びると思う。

でも、それはもう以前のフェーズとは全く違う世界。

得体のしれない人も含めたたくさんの人や組織が群がって何かを成し遂げようとしている勢いはない。

権威が生まれ、階層化され、法律も整備されてきた。

ゲームで言えば、「メタ」が変わったというべきなんだろうか?

ゲームも出始めが一番面白いと感じる。PUBGなんかも、初期の頃が一番楽しかった。

「攻略法」がわかり始めて、力量が階層化されると、途端につまらなくなった。

市場が成熟する。すると以前より「ちゃんと」した人たちがそこにはいるんだろう。

技術的な水準や仕事の効率も向上しているのだろうと思う。

業界の「レベル」も上がっているんじゃないか。

市場が成熟するというのは、そういうことなんだろう。

ただ、一方で失われるものもある。質が変わるというのは、そういうことでもある。

ウェブサービス・市場のサイクル

Airbnbのホストを長く続けている人(イタリア人)に、話を聞いたことがある。

「最初はとっても面白かったです。刺激的な人がいっぱいでした。そういう人しかAirbnbを知らなかった。今はそういう人殆どこないですね...」

と、ちょっぴり残念、という感じの顔で話してくれた。

最近のゲストが刺激的でないとしたら、私も刺激的ではないのか?

いや、そういう本音っぽいのを話してくれるということは、ある程度面白いやつだったということなのだろう。

その人とは酒も飲み交わし、ありがたいことに仕事も誘われた。補足情報で、パスタがめちゃくちゃ美味かった。

イタリア人なんなの。みんなパスタ作るの上手ね。

ユーザーの質は時間とともに変化する。

ウェブサービスのライフサイクルというのはそういうものだ。

新しいものに飛びつく人たちは、それが新しいものでなくなると、離れていく。

あとから来る人と、どうしても相容れない部分を持っている。

なんというか、アプリ界隈は、昔はハチャメチャな感じがあった。

そういうものが感じられなくなったのはいつからだろう?

この世界が一つの「サイクルの終わり」を迎えたのだろうか。

一つのサイクルが終われば、新たなサイクルを迎える。

やれることはたくさんあると思うし、まだまだこれからじゃないかと言われたら、そうかもしれない。

だが、昔みたいなお祭り感はない。

秩序は混沌から生まれる。

混沌の中には色んな不純物や、不快なものもたくさん混ざっている。

一方、そこには熱狂がある。幻想もある。人を夢中にさせるなにか。駆り立てるなにか。

幻想自体は、見破ってしまえば姿を消す。しかし、見破るまでは作用し続ける。

幻術のようなものかもしれない。領域展開。

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五条先生

「最適化」が進んだウェブの世界は、自分の興味関心だけにあうコンテンツやユーザーが「選別」される。

それは「快適」である一方、どこか寂しい感じもある。

市場の成熟というのは、そういうものなのだろうか。

ザッカーバーグメタバースへ行こうとしているのは、初期の幻想、熱狂、混沌といったものが市場を作ることを知っているからなのかもしれない。

(私はメタバース自体に魅力を感じないが…)

そうして、その初期の爆発的なエネルギーにうまく乗れば、上昇することも容易いということを彼らは知っているのである。

単にそれが金儲けできるという以上に、そういう「ゼロイチ」のフェーズが好きなのかもしれない。

落ち着いた世界にはどうしても「退屈」を感じてしまうんではないか?

心の灯火

お前は不愉快なことやネガティブなことを欲しているのか?と聞かれたら、NOである。

不愉快なことを経験したいわけじゃあない。それはもうお腹いっぱいである。

ただ、以前だったら不愉快だと感じたことも、最近は別な感じ方をする、ということはある。

世界は変わっていないかもしれないが、私は変わったかもしれない。

どうしても、なにか物足りないものを感じていた。

心のなかに炎のようなものがあるとして、それがうっすらと消えかかっていたんではないか。

昨年末に私はようやく鬼滅の無限列車編を見たのだが、「心を燃やせ」というセリフがとても印象に残っている。

心の炎が消えると、命の灯火も薄くなってくるのかもしれない。

休止に関しては複雑な気持ちがあるが、私は前向きだ。

というより、前を向くしかない。

大丈夫、だいたいのことは呼吸でなんとかなる。

煉獄さんも言っているしな。

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れんごくさん

私の心の炎も、風前の灯火だったが、ここに来て少し明るくなってきたようだ。

良いパーティ(冒険者ギルド的な意味で)

いい仕事だった。仲間に恵まれたこと、サービスがちゃんと軌道に乗っていたことが大きい。

少人数で回していて、各人がそれぞれのパートで独立して動くことができた。

MMOやったことがあるひとならわかると思うんだけど、あるクエストをこなす際に、やり方が分かっている各自が仕事をしてくれると、そのクエストはめちゃくちゃ楽になる。

背中を完全に預けられる感覚。自分のことだけに集中すればいい感覚。

エストの難易度は、よくできたパーティで挑むと圧倒的に下がって、ときにクソゲーのように感じてしまう。作業感とでもいうのだろうか。

意思決定の迷いやブレがなかった。これも大きい。的確な意思決定者がいたこと。

組織にありがちなよくわからないイベントや、面倒な人間関係(嫉妬とか敵意とか恐怖による歪んだエナジー)もない。

理不尽な上司もいない。煩雑な意思決定のプロセスもない。単純明快。シンプルさを愛する人達の集いだった。

労働と契約には納得感があり、皆見知った存在だから、不安もなかった。信頼があった。

家族的な感じでもない。そういう甘さとは縁が遠かったかもしれない。それでも、とても律儀なクライアントだった。

無茶なスケジュールとかも一切ない。なので遅滞させた覚えもない。

オフィスという物理空間にも悩まされることがなかった。

コロナが始まってからはオフィスに顔を出すこともなくなった。

昔は特に空調に悩まされることが多かった。

東京のオフィスには肺や気管支をやられることが多かった。

物理的にクリーンな環境にいられたおかげで健康になった。筋トレしていた頃はちょっと若返ったようだった。寿命を取り返した。

時間も増えた。海外旅行をしながら仕事をすることもできた。見聞を広めることができた。

人間としての幅が広がった気がしている。

安定した収益があったからできたことである。

サービスが儲かっていたからなのか、支払いは良かった。軌道に乗るというのはすごいことだ。

それは、当たり前ではないんだよなぁといつも思っていた。

でも、この人たちだからできることなのだと、そういう確信もあった。

今後の旅路

暮らしに対して不安を感じることもなかったか、といえば、それはわからない。

いつか終わりは来ると思っていたので、身の上を説明して「いいですねぇ」と言われながらも「今だけですよ」と返すこともしばしばだった。

結構な出費をして色んな体験をし続けたのは、一種の投資のようなものだと感じていたからだし、ただ遊び呆けていわたわけでもない。危機感の表れのようなものである。

多分アプリ開発でこれ以上の案件は今後は見込めないだろうと思う。

個人的な感慨が多く含まれているから、だいぶ誇張しているかもしれないが、それでもいい仕事だった。

トータルで見たら、これ以上に「神」的な案件は、今後も得られないだろうと感じる。

一つの頂点というか、極みのようなものを体験していたのかもしれない。

満足したといえば、そうなのかもしれない。

エンジニアを始めた頃に持っていたイメージが、ほぼ全て手に入ってしまった。

そうなると不思議なもので、他のことを探し始めてしまうのだ。

何が楽しかったかって、それはそのプロジェクトに関わる仲間たちだし、そういう仲間と繰り広げた「物語」だったのかもしれない。

「今だけ・ここだけにしかないこと」がそこにはたくさんあったのだと思っている。

プロダクトやビジネスには再現性のパターンはある。でも、この組み合わせは、多分再現性がない。

それゆえに惜しいが、だからこその一期一会なのかもしれない。

出会いがあれば別れもあるというやつだ。

こういうことを感じるのは根が旅人やゲーマーだからなのかもしれない。

新天地を求めるというべきか、「別ゲー」に手を出したくなるっていうのかな。

別ゲーならまた新しく1からやり直すだけだ。

ロールプレイングゲームにはありがちな、所持金装備品すべて失うみたいなイベントに比べたら、まだ優しいと言える。

ほとんど失っていないからだ。

感謝を込めて

このプロジェクトは色んな偶然が重なって続いたことだった。私は今、その全てに感謝している。

つらかったことも、たのしかったことも全部。

みんなありがとう。

私も新しいことに本気にならなくちゃいけない。

そんな気にさせられる出来事だった。

コロナのこともあって、どこか意識が浮遊しているような感覚になっていた。

スペインかぜが3年で終わったように、コロナもそのくらいで終わると言われていた。

良い変化の兆しは、至るところに見て取れるし、感じ取れる。

時代の潮目なのかもしれない。新しいことを始めるには、好機なのだろう。

自分がアプリ開発を今後も食い扶持としてやっていけるか自体にも疑問を挟むことが多くなっていた。

興味関心や学習することへのモチベもあるが、フィジカルな問題のほうが大きいかもしれない。

スクリーンを長時間見ると、目が辛いのである。呼吸でなんとかなるんだろうか?

体力は増えたし、健康にもなったのだが、一方でデジタルなものへの耐性が下がっている。

日没後にスクリーンを見ると、寝付きが悪くなる。

頭の周りにモヤが掛かったような感じになるというか...

自分の体が拒絶しているようにも思える。

散々色んな所を回ったり、体験して、やりたいことが見つかったのかと言われたら、ある程度は見つかったと思う。

トライアンドエラーで暗中模索していくことになると思うんだが、試行錯誤の産みの苦しみみたいなものを、味わいたいのかもしれない。

楽しそうにものづくりをしているクライアントの姿を見て、もしかして...というか、やっぱり、私がしたかったのはこれなんじゃないか、と思ったことがあった。

一方には冒険があり、一方には崩落がある。

収益には影響があるから、やばいといえばやばい。

エッシャーのだまし絵のような、天使と悪魔が表裏一体で私の目の前にいるような、そんな心地がする。

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エッシャーのだまし絵

私に力がなければ、くちていくだけだろうし、あるならば、羽ばたけるだろう。

今はそんなLive or Die な気持ちだ。

たぶんなんとかなるし、なんとかするだろうという予感だけがある。

その予感は成就しないかもしれないし、するかもしれない。

期待しない。悲観もしない。

昔なら誰かの嘲る姿が浮かんだかもしれない。十二国記の青猿のようなやつ。

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蒼猿

そういうのもない。

感情がなくなったわけじゃない。

こんな長文書くんだから、色んな思いがこみ上げているのは私が一番わかっている。

それより今は、これから先に向けた情念を作るべきなんだという気がしている。

ほとんど人と会う機会も減って、「アラン」と呼ばれることも減った。

住居も長野の方に移してしまったから、気軽に飲みに行ったりする相手もいなくなった。

このブログは久々だが、昔のゲームにログインして、古いアバターを使っているような気持ちになる。

あらんという人は、このように生きていたのだな、という、別人を見るような感じが最近とても強い。

環境が変わると人は変わる。

付き合う人でも人は変わる。人は周囲との相互作用でできているから。

人は変化する。命も心もうごくものだから。

全く同じではいられない。

さようなら さようなら 過ぐる日のわたしよ

さようなら さようなら 記憶は残せど

さあて、次はどこへ行くか。

おまけ

最近見た動画

普通に全部面白かったが、魔法使いの嫁が異質な感じがした。ちょっと昔のだからというのもあるが...

メイドラゴンは、京アニの解釈や表現の力がすごすぎて、めちゃくちゃ良い情動をもらった。笑いあり涙ありのいいアニメです。

ジョジョの6部ってOrange is new blackとか出たあとだから今放映できるのかなとか思うと、荒木先生どれだけ先を見ていたんだろうか...。 露伴先生もブレイクしているし脱帽である。

無職転生は、女性には抵抗があるかもしれないが、女性でも楽しめる人は楽しめると思う。これは必見。大原ゆい子さんのテーマソングだけでも聴いてほしい。

これからウィッチャーを見る予定。 映画館にはマトリックスリザレクションを見に。

ではでは、ごきげんよう

we may see you again.